蜂窩織炎への新対策

蜂窩織炎への新対策

蜂窩織炎とは

リンパ浮腫患者の約30%に発生すると言われている蜂窩織炎は、健常人に発生する蜂窩織炎と異なり、免疫機能異常を有しているリンパ浮腫症例においては、浮腫部に突然の発赤が生じ、急激に進行し数時間内にあっという間に40度近い発熱を発生します。場合によっては、敗血症性ショックで命を落とす場合もあります。

特に蜂窩織炎を頻発する患者さんは、度重なる欠勤のため就労困難となり、仕事を辞めざるをえない状況に追い込まれたり、浮腫部に過度な負担をかけることを避けるため、旅行やスポーツといった活動が制限されたりすることも少なくありません。
蜂窩織炎が出現している状況では標準治療であるリンパドレナージやスキンケアといった保存療法は禁忌とされているため、病状は著しく悪化しつづけます。
当外来においては新しい対策として、局所麻酔下にリンパ管静脈吻合術を行う事で蜂窩織炎発生を抑えます。

蜂窩織炎の治療成績

リンパ浮腫は免疫不全の状態であり、合併する蜂窩織炎に対して、これまで予防法は無いとされてきました。われわれは、リンパ管静脈吻合術による蜂窩織炎発生抑制効果に関して解析しました。この治療の効果は少数の症例に限ったものではなく、95症例を解析した医学的な根拠に基づいたものです(Mihara, Hara, Kikuchi et al. British Journal of Surgery, 2014 Oct.)。上肢リンパ浮腫11例、下肢リンパ浮腫84症例に関するデータです。術前1年間の蜂窩織炎の平均発生頻度1.46回だったものが、術後1年間では0.18回まで低下しています。約1/8まで減少したことになります。

蜂窩織炎発生回数

浮腫状態の悪化に伴って、蜂窩織炎の発生頻度も増加しますが、リンパ機能が少しでも残っていれば重症の病期でも蜂窩織炎発生を予防することができます。国際リンパ学会によるリンパ浮腫分類のStage3(象皮病)においては、術前1年間の平均発生頻度が4回だったものが、術後0.62回と、約1/6に低下します。

蜂窩織炎の代表症例

これまで、年間10回以上の蜂窩織炎を発生するリンパ浮腫患者さんも治療を行ってきました。局所麻酔下・リンパ管静脈吻合術を行うことで、発生頻度の抑制や症状軽減が見込めます。但し、リンパ機能の状態によっては、複数回の手術(1~4回程度)が必要となる場合があります。 治療のタイミングは、蜂窩織炎の症状(患部の発熱・発赤・疼痛等)が発生していない状況で手術を実施します。入院期間は通常の手術プロトコルと同様で5日から7日間程度です。

蜂窩織炎の代表症例

国際雑誌への報告

蜂窩織炎発生回数

これまで抗生物質の数年にわたる継続内服や理学療法のみが蜂窩織炎予防の手段であったため、この結果は画期的なものとして国際的にも認められ始めております。
British Journal of Surgery 誌(2014年10月号)には論文に加えて、表紙に治療コンセプトを掲載頂きました。

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論文要旨・和訳

【目的】
婦人科癌術後の合併症として下肢リンパ浮腫が生じることがあり、長期化するに従い蜂窩織炎が頻発するようになることがある。リンパ浮腫を基礎とした蜂窩織炎は急激に発症し、患肢の腫脹発赤、38~40度台の発熱をきたし、敗血症性ショック状態に陥る場合もある。蜂窩織炎が起こるとリンパ管の損傷が進みリンパ浮腫の悪化をきたすという、負の連鎖が生じる。近年リンパ浮腫の外科治療としてリンパ管静脈吻合術(LVA)が普及しつつあるが、今回われわれはLVAの蜂窩織炎予防効果について検討した。尚、全例に於いて術前にインフォームドコンセントを実施した。
【方法】
2005年9月から2012年4月までに筆頭演者が初回LVAを行った患者124人について検討を行った。除外基準は、術後フォロー1年未満、過去にリンパ浮腫の手術を行った既往、術後の新たな圧迫療法追加とした。蜂窩織炎の診断基準は、患肢の腫脹発赤及び38.5度以上の発熱とし、LVA前後の1年で蜂窩織炎の回数を比較した。t検定を行い、p=0.01を有意水準とした。 
【成績】
124人中、95人が調査対象となった。男性4人、女性91人で、平均年齢は57.8歳(31~90歳)であった。下肢リンパ浮腫84人、上肢リンパ浮腫11人であった。LVA前1年間の平均蜂窩織炎回数は1.6回(0~12回)であったが、LVA後は0.18回(0~3回)に減少し、t検定により有意差を認めた(p=1.7×10-5)。 
【結論】
抗生剤投与や理学療法を行っても蜂窩織炎発生が抑制できない症例に対し、LVAによる予防が有用であることが示された。LVA自体は局所麻酔下に実施できるため、婦人科癌術後に蜂窩織炎を頻発する症例に対し第一選択となり得る治療法と考えられる。

( 参考文献 )
Mihara M, Hara H, Kikuchi K et al.Lymphaticovenular anastomosis to prevent cellulitis associated with lymphoedema. British Journal of Surgery. 2014 Oct;101(11):1391-6.

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